Omeka Sはどんな人に向いている?特徴と運用のコツ
AtoMのメリット・デメリットと導入手順を詳しく解説
「アートアーカイブを作りたい」と相談を受けたとき、
かなりの確率で出てくるのがこの質問です。
「WordPressでもアーカイブって作れますか?」
結論から言えば、
小規模であれば可能。ただし“本格的なアーカイブ”としては限界がある
というのが現実的な答えになります。
WordPressは非常に優れたCMS(コンテンツ管理システム)ですが、
もともと「ブログ・Webサイト運営」を目的に設計されたツールです。
そのため、アーカイブ用途では得意なこと・不得意なことがはっきり分かれます。
この記事では、
まず結論をはっきりさせておきましょう。
WordPressは以下の条件なら“実用的なアーカイブ”になります。
一方で、次のような場合には不向きです。
つまり、
WordPressは「簡易アーカイブ兼広報サイト」
AtoM・Omekaは「アーカイブそのもの」
という位置づけの違いがあります。
それでもWordPressが選ばれ続けているのには、明確な理由があります。
WordPressは、
という点で、「人が入れ替わる現場」に非常に強いツールです。
ギャラリーや個人作家の場合、
「ITが得意な人がいなくなった途端に更新できなくなる」
という事態は珍しくありません。
その点、WordPressは引き継ぎがしやすいのが大きな利点です。
アーカイブと広報サイトを分けずに済むのも強みです。
これらを同じ管理画面で扱えるため、
「情報が分散しない」運用ができます。
WordPressでアーカイブらしい構造を作るには、
カスタム投稿タイプ(Custom Post Type) を使うのが基本です。
それぞれを分けることで、
「ブログ記事」と「アーカイブデータ」を混在させずに管理できます。
例えば「作品」投稿タイプでは、
といった項目を個別に持たせることができます。
この構成をきちんと作れば、
見た目上はかなり“アーカイブっぽい”サイトになります。
WordPressでアーカイブを作る場合、
ほぼ必須になるのが以下のプラグインです。
作品情報を「項目として」管理するための要です。
ACFを使うことで、
これは検索性や再利用性の面で非常に重要です。
カスタム投稿タイプをGUIで作成できます。
コードを書かずに構造設計できるため、初心者でも扱いやすいです。
などを実装することで、
「見る人に優しいアーカイブ」になります。
ここが一番重要なポイントです。
WordPressでアーカイブ“風”のものは作れますが、
専門的なアーカイブ機能は根本的に不足しています。
AtoMのような
fonds → series → item
といった多階層構造は、WordPressでは無理があります。
カテゴリーで代替することはできますが、
本来のアーカイブ理論とは異なります。
といったアーカイブ標準への対応は、
WordPressでは基本的に自前実装になります。
これは自治体・資料館用途では致命的です。
WordPressはCMSとして優秀ですが、
「50年保存」を前提とした設計ではありません。
長期保存・他機関連携を考えるなら、
専用アーカイブシステムに分があります。
ここで整理しておきましょう。
| システム | 得意分野 |
| WordPress | 小規模・広報・運用のしやすさ |
| Omeka S | 展示・公開・教育活用 |
| AtoM | 本格保存・大量資料・自治体 |
WordPressは「入口」として非常に優秀ですが、
最終ゴールとして使うかどうかは慎重に判断すべきです。
以下に当てはまるなら、WordPressは十分な選択肢です。
実際、
「まずWordPressで整理 → 後にOmekaへ移行」
というステップは、非常に現実的で失敗が少ない方法です。
WordPressでアート・デジタルアーカイブは作れます。
ただし、それは 「アーカイブ的な運用ができる」 という意味であって、
「アーカイブシステムそのもの」ではありません。
を重視するなら、WordPressは非常に優秀です。
一方で、
を重視するなら、AtoMやOmekaを検討すべきです。
大切なのは、
「今の規模」と「5年後の姿」を同時に考えること。
WordPressは“入口としての最適解”になることが多い。
その位置づけを理解したうえで使えば、
アーカイブ運用の強力な味方になります
▶ デジタルアーカイブ化を「導入すべきかどうか」から検討している方はこちら
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