AtoM / Omeka 導入の見積もり例|小規模向けの参考価格
外注すべきか?自分で作るべきか?費用対効果で判断する方法
アーカイブ構築を外注するとき、最も誤解されやすいのが「費用の根拠」です。
たとえば見積もりが20万円なのか、60万円なのか、あるいは100万円になるのか——
その理由がわからなければ、比較も判断もできません。
結論として、アーカイブの見積もりは “作業工程”と“項目数”で決まる ため、
費用を把握するには「項目ごとの作業量」を理解するのがもっとも合理的です。
この記事では、アーカイブ外注で一般的に登場する見積もり項目をすべて解説し、
どこにコストがかかっていて、何を比較すべきかが明確になるよう整理します。
外注費を比較するとき、多くの人が「金額だけ」で判断しようとします。
しかし、アーカイブ業務はプロジェクトごとに作業数がまるで違うため、
金額だけでは比較できない という構造的な特徴があります。
理由は3つあります。
そのため、
「A 社は 30 万円、B 社は 50 万円」
と金額で比較してしまうと、裏側の工程まで見えません。
項目ごとの内訳が明確な見積もりだけが、正しく比較できる見積もりです。
外注費の中で最も時間を食うのが、この「データ整理」です。
| 作品点数 | 作業量 | 相場 |
| 〜30点 | 軽作業 | 3万〜5万円 |
| 100点 | 中量 | 8万〜15万円 |
| 300点以上 | 重量級 | 20万円〜 |
特に 「点数が多い作家」や「資料が混乱しているギャラリー」 では、
この整理工程が最も大きなコストになります。
次に費用を左右するのが「作品撮影」です。
撮影の有無で見積もりが一気に変わります。
作品点数 × 撮影単価 で計算されることが多い
| 作品タイプ | 単価相場 |
| 平面作品(1点) | 1,500〜4,000円 |
| 立体作品(1点) | 2,500〜6,000円 |
| テキスタイル(1点) | 2,000〜5,000円 |
| 展示全景・会場撮影 | 10,000〜25,000円 |
撮影が入るだけで、見積もりは 10万〜50万円 ほど上振れします。
逆に言えば、
“撮影を自分で行う”と費用が大きく下がります。
最もブレ幅が大きいのが「どのシステムを使うか」。
| システム | 特徴 | 相場 |
| WordPress | 表示が柔軟・簡易データベース向き | 5万〜30万円 |
| Omeka S | 公開向け・学術展示向け | 15万〜60万円 |
| AtoM | 大規模資料向け・階層構造 | 20万〜100万円 |
特に AtoM は「国際標準に準拠した構造」を持つため、
項目設定と階層構造の設計に時間がかかり、費用が高くなりがち です。
あまり知られていませんが、
アーカイブの外注費で必ず発生するのが「プロジェクト管理」です。
これらは表には出ませんが、
実際にはかなりの時間と専門性を必要とします。
全体費用の 10〜30% が一般的
例:50万円のプロジェクトなら 5〜15万円ほど。
見積もりには書かれないが、実際に発生するコストがあります。
これを知らないと「思ったより高くついた」という事態になります。
クライアント側でフォルダ整理が必要になる。
「撮影漏れ」があると、追加費用が原則発生。
いざ運用すると
「やっぱり展示歴の項目を追加したい」
といったニーズが出てくる。
AtoM:月 2,000〜10,000円
Omeka S:月 1,000〜5,000円
WP:月 500〜3,000円
旧データ/古いExcelを整える作業は、想像以上の時間がかかります。
運用担当者を育てないと結局回らないため、
操作説明会を別料金にしている業者も多い です。
アーカイブ外注費は、
「高い・安い」という感覚だけでは判断できません。
判断するためには、
“どの工程にどれだけの作業があるか” を理解する必要があります。
そのために、
内訳を理解すれば、
・自分でできるところ
・外注に任せるところ
が明確になり、結果的に最適な費用でアーカイブを構築できます。
(規模別・項目別に速攻で判断できる相場表)
アート・デジタルアーカイブの費用は、
①点数
②写真の有無
③使用システム(AtoM・Omeka・WP)
の3要素で決まります。
以下は見積もりを受け取ったときの“比較基準”として使える表です。
| 依頼内容 | 相場 | 備考 |
| 作品写真の整理(100点まで) | 2万〜6万円 | 作品名・サイズ整理など |
| 作品撮影(1点) | 1,000〜4,000円 | 立体は高め |
| 作品撮影(1日プラン) | 3万〜8万円 | 100点前後可能 |
| 作品データベースの初期設計 | 3万〜10万円 | Notion/スプレシで構築 |
| Web公開(WordPress) | 5万〜20万円 | テンプレート利用で安価に |
個人作家は“データ整理+基礎設計”だけ外注するのが最も費用対効果が高い。
| 依頼内容 | 相場 | 備考 |
| 作品情報の整理(300点まで) | 8万〜25万円 | 作家別フォーマット作成 |
| 出品リスト/販売管理の統合 | 5万〜15万円 | 在庫・返却管理も含む |
| 展示写真の整理(1展示) | 2万〜6万円 | 記録化の標準化を含む |
| システム構築(WordPress) | 15万〜50万円 | 公開用に最適 |
| システム構築(Omeka S) | 20万〜80万円 | カスタムで変動 |
ギャラリーは“委託作品管理+展示記録の標準化”が最大の外注効果ポイント。
| 依頼内容 | 相場 | 備考 |
| 資料整理(500〜5000点) | 30万〜150万円 | 現物整理/撮影含む |
| スキャン(1点) | 150〜600円 | A4以下の資料 |
| AtoM構築 | 80万〜250万円 | 階層型アーカイブに強い |
| Omeka S構築 | 60万〜200万円 | 展示型サイトに最適 |
| データ移行(既存CMS→AtoM等) | 20万〜100万円 | 点数次第で大幅変動 |
自治体は“長期運用体制”が最も重要で、導入後の保守費も見逃せない。
| 項目 | 小規模 | 中規模 | 大規模 |
| データ整理 | 3万〜10万 | 10万〜30万 | 30万〜100万 |
| 写真撮影 | 3万〜10万 | 10万〜30万 | 30万〜100万 |
| システム構築 | 5万〜20万 | 20万〜60万 | 60万〜250万 |
| プロジェクト管理費 | 1万〜5万 | 5万〜15万 | 15万〜40万 |
| データ移行 | — | 5万〜30万 | 30万〜100万 |
※ 大規模は自治体・資料館級を想定
※ システムにAtoMを選ぶと全体費用が1.3〜1.6倍になりやすい
(早見表とセットで使える)
こうした条件が重なると、費用は 一般相場の1.5〜3倍 になりやすい。
外注費を理解することで“高い・安い”の判断ができる
アーカイブの見積もりは、
総額を見るのではなく「項目で比較」することが唯一の正解 です。
この5つのどこにお金がかかっているかを理解すると、
他社見積もりの比較も、外注すべき範囲の判断も、圧倒的にしやすくなります。
▶ デジタルアーカイブ化を「導入すべきかどうか」から検討されたい方はこちら
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