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AtoM / Omeka 導入の見積もり例|小規模向けの参考価格

アーカイブ導入を検討するとき、最も判断が難しいのが「費用感」です。

AtoM や Omeka S はオープンソースで無料のソフトウェアですが、

導入・設計・移行・運用 には必ずコストが発生します。

重要なのは、

「高いか安いか」ではなく

「何にいくらかかっているのか」を理解すること

本記事では、小規模ギャラリー・資料館・自治体を想定しながら、

AtoM / Omeka S 導入時の見積もり構造と参考価格を整理します。


AtoMとOmekaの費用構造の違い

◆ 結論から言うと

  • AtoM:保存・管理重視 → 設計コストが高くなりやすい
  • Omeka S:公開・展示重視 → 初期費用を抑えやすい

という傾向があります。

AtoMの費用が高くなりやすい理由

AtoMは、

  • 階層構造(fonds / series / item)
  • 国際標準(ISAD(G))
  • 厳密なメタデータ設計
  • 権限管理・長期保存

といった 「業務アーカイブ向け設計」 を前提にしています。

そのため、

  • 事前設計
  • データ構造の整理
  • メタデータ設計書の作成

といった 人件費=設計費 がどうしても発生します。

Omeka Sの費用が抑えやすい理由

一方で Omeka S は、

  • Dublin Core ベース
  • フラットなデータ構造
  • Webサイト感覚のUI
  • 展示・公開を重視

しているため、

「まず見せる」ことに特化した最小構成が組みやすい のが特徴です。


AtoM導入の参考価格(20万〜150万)

AtoMの見積もりは「幅が広い」のが特徴です。

これは どこまで“本気のアーカイブ”を作るか によって変わります。

■ 小規模向けの目安

  • 最小構成:20万〜40万円
  • 標準構成:60万〜100万円
  • 本格構成:100万〜150万円

以下、内訳を見ていきます。


サーバー構築(5万〜20万円)

AtoMは比較的サーバー要件が高く、

  • Linux環境
  • PHP / MySQL
  • メモリ・CPUに余裕

が必要です。

費用に含まれることが多い内容:

  • サーバー初期設定
  • AtoMインストール
  • セキュリティ設定
  • バックアップ設定

※ クラウド(VPS)を使う場合、

 月額1,000〜3,000円程度のランニングコストが別途発生します。


データ移行(5万〜50万円)

資料点数によって大きく変動します。

  • 〜300点:5万〜15万円
  • 〜1,000点:20万〜40万円
  • それ以上:個別見積もり

内容としては、

  • CSVデータ整形
  • 画像紐付け
  • 階層構造への割り当て
  • 文字化け・表記揺れ調整

など、「人が触らないとできない作業」が中心です。


メタデータ設計(10万〜40万円)

AtoM導入で 最も重要かつ軽視されがちな項目 です。

含まれる作業:

  • 現状資料のヒアリング
  • ISAD(G)を踏まえた設計
  • 必須項目・任意項目の整理
  • 入力ルール策定
  • 将来拡張を見据えた設計書作成

ここを削ると、

「動くけど使えないアーカイブ」 になります。


Omeka S導入の参考価格(15万〜80万)

Omeka Sは 構成次第で非常にコンパクトに始められる のが特徴です。

■ 小規模向けの目安

  • 最小構成:15万〜25万円
  • 標準構成:30万〜50万円
  • 拡張構成:60万〜80万円

Omeka Sの主な費用内訳

  • サーバー構築:5万〜10万円
  • 初期設定・テーマ調整:5万〜15万円
  • メタデータ設計:5万〜20万円
  • 初期データ投入(100〜300点):5万〜20万円

AtoMに比べて、

  • 階層設計が簡易
  • UIが直感的
  • Webサイト構築に近い

ため、初期費用を抑えやすいのが特徴です。


小規模ギャラリー向けの“最小構成”例

目的:展示記録と作品情報を整理・公開したい

■ 構成例(Omeka S)

  • サーバー:共有サーバー
  • テーマ:既存テーマ流用
  • メタデータ:Dublin Core+独自5項目
  • データ数:〜200点
  • 外注範囲:初期設計+初期投入のみ

■ 参考価格

👉 20万〜30万円前後

その後は、

  • 作品追加
  • 展示ページ作成

自分たちで運用 することでコストを抑えられます。


資料館・自治体向けの“標準構成”例

目的:保存+公開の両立、長期運用

■ 構成例

  • AtoM:保存用(非公開含む)
  • Omeka S:公開・展示用
  • メタデータ共通設計
  • データ数:500〜1,500点

■ 参考価格

👉 80万〜150万円前後

一見高く感じますが、

  • 数年単位で使う
  • 担当者が変わっても継続できる
  • 文化資産として蓄積される

という点を考えると、

単年度事業としてはむしろ現実的な金額 です。


費用を抑えるためのコツ

① 最初から“全部やろうとしない”

  • まず100点
  • 次に300点
  • その後拡張

という 段階導入 が最もコスパが良い。

② メタデータ設計だけ外注する

  • 実装・入力は自前
  • 設計だけプロに依頼

というハイブリッド型は非常におすすめです。

③ 公開用と保存用を分ける

  • Omeka=公開
  • Excel / Drive / AtoM=保存

役割分担をすると、

無駄な機能実装費を削減できます。


まとめ:規模と必要機能で大きく変動する

AtoM / Omeka の導入費用は、

  • システムの違い
  • データ量
  • 設計の深さ
  • 運用体制

によって 大きく変動 します。

重要なのは、

見積もり金額そのものより

「何にお金を払っているのか」を理解すること

です。

  • 保存を重視するなら AtoM
  • 公開・展示を重視するなら Omeka
  • 小規模なら最小構成から

この考え方を軸にすれば、

見積もりに振り回されず、納得感のある導入判断ができます。


デジタルアーカイブ化を「導入すべきかどうか」から検討されたい方はこちら
※現状の運用を前提にご相談を承ります

この記事を書いた人
ArtLibの長岡です。 アートイベントの取り仕切りを10年にわたって続けてきました。 現在は百貨店のアートギャラリースペースにて、作家さんの展示会場の運営を行っています。 絵画を年間2000万円の絵画を販売して、学んだことを公開していきます。