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ギャラリースタッフが1日でできる“簡易アーカイブ構築”

カテゴリ③「ギャラリー向けアーカイブ運用」

ギャラリー運営において、作品情報や写真が「どこにあるか分からない」「人によって管理方法が違う」といった状況は珍しくありません。本格的なアーカイブの必要性は感じつつも、「時間がない」「大掛かりになりそう」という理由で先延ばしにされがちです。

しかし、実務で本当に必要なのは“完璧なアーカイブ”ではなく、“最低限すぐ使えるアーカイブ”です。本記事では、ギャラリースタッフが通常業務の延長線で、1日あれば構築できる簡易アーカイブの作り方を、準備から具体的な手順まで段階的に解説します。


1日で作れる理由(最小構成でOK)

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まず理解しておきたいのは、簡易アーカイブは「省略」ではなく「選択」だという点です。

業務で必要な情報は実は限られている

日常業務を振り返ると、問い合わせ対応や展示準備で使う情報は意外と限定的です。作品名、作家名、サイズ、素材、価格、写真。この程度が分かれば、ほとんどの業務は回ります。最初から詳細な解説や長文履歴を揃えようとするから、作業が重くなります。

70%完成をゴールに設定する

1日で作るためには、「完成度70%」をゴールに設定することが重要です。残り30%は後日追加する前提で構いません。完璧を目指さないことで、作業スピードと実行率が大きく上がります。

将来の拡張を前提にする

簡易アーカイブはゴールではなくスタート地点です。AtoMやOmekaなどの本格システムへ移行する際の“元データ”になるため、決して無駄にはなりません。この前提があると、心理的なハードルが下がります。


準備するもの(スマホ・PC・クラウド)

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1日で終わらせるためには、事前準備が非常に重要です。

スマホ:撮影と即時確認の要

スマホは作品撮影の中心になります。高価なカメラは不要で、作品全体が歪みなく写っていれば十分です。撮影後すぐに確認できる点も、時間短縮に大きく貢献します。

PC:整理と入力の中核

写真整理やデータ入力はPCで行います。フォルダ操作やスプレッドシート入力は、スマホよりも圧倒的に効率が良く、ミスも減らせます。

クラウド:共有前提の保存先

Google DriveやDropboxなどのクラウドは必須です。ローカル保存だけでは、他スタッフが使えず、アーカイブとして機能しません。最初から「共有前提」で保存場所を決めます。


ステップ①:作品写真を整理する

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簡易アーカイブ構築の第一歩は、写真の整理です。

撮影は正確さを最優先する

アーカイブ用写真では、雰囲気や演出よりも正確さが重要です。正面から、影や歪みを抑え、作品全体が分かる写真を1点撮れば十分です。展示風景や寄りの写真は後回しにします。

ファイル名を即時に付ける

撮影後に「IMG_1234」のまま放置すると、必ず混乱します。「作家名_作品名_連番」など、簡単な命名ルールで構いません。撮った直後に名前を付けることで、後工程が大幅に楽になります。

フォルダは作家単位でまとめる

フォルダ構造は極力シンプルにします。「作家名/作品写真」程度で十分です。展示別に細かく分け始めると、1日では終わりません。


ステップ②:最低限のデータ項目

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写真が整理できたら、次はデータ入力です。

入力項目は6つに限定する

簡易アーカイブで入力する項目は、

・作家名

・作品名

・制作年

・サイズ

・素材

・価格または所在

この6項目に限定します。これ以上増やすと、作業時間が一気に膨らみます。

空欄を許容する設計にする

不明な情報は空欄で構いません。「全部埋めなければならない」と考えると作業が止まります。後日追記できる前提で進めることが重要です。

写真ファイル名と必ず紐付ける

データ入力時には、対応する写真ファイル名を必ず記録します。これにより、後から探す手間が激減し、アーカイブとしての実用性が一気に高まります。


1日アーカイブを次につなげる運用のコツ

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簡易アーカイブは、作って終わりではありません。

その日のうちに共有する

完成した簡易アーカイブは、当日中にスタッフ全員で確認します。「どこが使いやすいか」「何が足りないか」を共有することで、次の改善点が明確になります。

入力ルールを一言で残す

「サイズはcm」「価格は税込」など、最低限のルールを一言メモとして残します。詳細なマニュアルは不要ですが、この一言が次回作業を大きく楽にします。

少しずつ肉付けしていく

翌日以降、展示準備や問い合わせ対応の中で気づいた不足項目を少しずつ追加します。簡易アーカイブは“育てる前提”で運用することが成功の鍵です。


まとめ:1日アーカイブは業務改善の第一歩

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最後に、本記事の要点を整理します。

完璧よりも使えること

使われない完璧なアーカイブより、多少不完全でも日常業務で役立つアーカイブの方が価値があります。

小さく始めることで続く

1日で作れる規模から始めることで、アーカイブ運用は現実的な業務になります。大きく始めないことが、継続の秘訣です。

将来の本格化につながる

この簡易アーカイブは、将来AtoMやOmekaに移行する際の基礎データになります。最初の一歩として、非常に合理的な方法です。

この記事を書いた人
ArtLibの長岡です。 アートイベントの取り仕切りを10年にわたって続けてきました。 現在は百貨店のアートギャラリースペースにて、作家さんの展示会場の運営を行っています。 絵画を年間2000万円の絵画を販売して、学んだことを公開していきます。