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スマホだけでできる“作品アーカイブの作り方”完全ガイド

アーカイブという言葉を聞くと、多くの作家さんが思い浮かべるのは

「難しそう」「専門家がやるもの」「お金がかかりそう」

といったイメージかもしれません。

しかし実際には、アーカイブの本質は“難しさ”ではありません。

必要なのは 「作品を未来に残そうとする意思」と「最低限の情報を整理する習慣」 です。

しかも現代では、かつて必要だった

・プロ用のカメラ

・スタジオ照明

・専門システム

などは必須ではありません。

スマートフォンの性能が上がったことで、

「スマホだけで十分に実用的なアーカイブを構築できる時代」

がすでに到来しています。

そして、アーカイブは単なる記録ではありません。

作品の価値を「時間」に耐えさせるための、作家としての責任でもあります。

  • 展示のたびに整理ができる
  • 売れた作品の記録が残る
  • SNSやWebサイトへの流用が簡単
  • コレクターやギャラリーからの問い合わせに即対応できる
  • 過去の作品が自分の“財産”として蓄積される

このような状態を作るための一歩が、スマホだけで完結するのです。

ここでは、スマホによる作品撮影から、フォルダ整理、クラウド運用、

そして最終的にアーカイブとして“機能する”状態の作り方まで、

段階的かつ具体的にガイドします。


スマホだけでアーカイブは作れる?(YES)

まず結論から言えば、アーカイブに必要な要素は次の3つです。


● ① 作品写真(スマホで十分な画質がある)

スマホカメラは10年前と比較すると別物です。

明るさ補正、AI補正、レンズの高精度化などにより、

“アーカイブに耐える作品写真”を撮るには十分すぎる性能があります。

実際、プロのカメラマンを使うギャラリーでも、

速報用・証跡用はスマホ写真で運用しているケースが増えています。


● ② 作品情報(タイトル/サイズ/技法/制作年など)

アーカイブの価値は、作品写真そのものではありません。

写真+情報が揃ってはじめて、社会と意味を持ちます。

最低限の作品情報(後述)をスマホで入力できれば、それで成立します。


● ③ 整理された保存先(クラウド・ノートアプリなど)

現代のクラウドサービスはスマホとの親和性が高く、

“どこに何があるか明確に整理された状態”を簡単に作れます。

Google Drive

Notion

Googleフォト

Spreadsheets

など、無料で使えるツールが非常に充実しています。


■ 「アーカイブ=専門機材」だった時代は終わった

かつてのアーカイブは、

「プロが撮影した高画質写真」

「専用システム」

「高価なDB構築」

が当たり前でした。

しかしいまは次の順序が最適です。

① スマホで始める

 ↓

② 必要になれば徐々に拡張(AtoM・Omeka Sなど)

 ↓

③ 将来的にはデジタルアーカイブへ統合

作家にとって大切なのは、“ゼロより一” を作ること。

一歩目はスマホで十分すぎるのです。


ステップ①:作品の撮影方法(スマホ最適)

アーカイブ用写真の目的は

「作品を正しく伝えること」

であり、SNSのように“映える写真”とは基準が違います。

重要なのは 明るさ・角度・影 の3つ。

ここでは作家さんが最も失敗しやすいポイントを丁寧に説明します。


明るさ — “光がすべて”と言っていい

スマホは暗所に弱いです。

そのため、アーカイブ撮影では“光の確保”が最も重要になります。

● 最適な条件

  • 午前〜昼の自然光(曇天も◎)
  • 窓の近くで撮る
  • **カーテン越しの柔らかい光(拡散光)**が理想
  • 部屋の照明は複数方向(影をなくすため)

特に、作品の色味・質感を正しく記録したい場合、

自然光ほど優れた光源はありません。


● 避けるべき条件

  • 直射日光(コントラストが強すぎて色が飛ぶ)
  • 夜間の黄ばみ照明
  • スマホの強めのHDRが誤作動しやすい暗室

● 光を整えるコツ

  • 白い壁を“レフ板”代わりにする
  • 白いスケッチブックを作品の横に置いて光を跳ね返す
  • 机の上で撮るなら、周囲に白紙を立てかけて簡易ボックスにする

レフ板や照明を買う必要はありません。

身近な白い紙だけで光は劇的に改善できます。


角度 — “正対写真”がアーカイブの基本形

アーカイブで最も重要なのは

作品を歪ませずに撮ること

です。

多くの作家がやってしまうのが

「なんとなく斜めから撮る」

「広角レンズでゆがむ」

というミス。


● 絵画作品の場合

  • スマホを 作品と完全に平行 にする
  • スマホの位置は 作品の中心の高さ
  • 広角ゆがみを避けるため 1.5〜2倍ズーム が最適

スマホを寄せすぎると歪むため、少し引いてズームするのがコツです。


● 立体作品の場合(推奨カット)

  • 正面
  • 斜め(45度)
  • 側面
  • 背面
  • 上から
  • ディテールのアップ

アーカイブとして残すなら、最低でも3方向(正面・斜め・側面) が必須。


● 画面の水平を保つコツ

  • スマホの“グリッド線”をON
  • 水平器アプリを併用
  • 作品の四隅と画面の四隅が並行になるよう調整

正対写真が取れるだけで、作品資料の価値は桁違いに向上します。


影の消し方 — “自分の影”が最大の敵

スマホで作品を撮るとき、

最も多い失敗が 「自分の影」 が作品に落ちること。

影のある写真は、アーカイブ資料として使いづらくなります。


● 影を消すテクニック

  1. 光源を横か斜め上にずらす
  2. 自分が 作品から半歩離れる
  3. スマホを やや高く持ち上げる
  4. 窓と作品の角度を調整

これだけでほぼ消えます。


● どうしても影が残るとき

  • 作品より左か右にずれる
  • 作品を少し傾ける
  • 光を白紙でまわす(簡易レフ)
  • カーテンや薄布を光源にかぶせて拡散させる

プロの撮影でも「影をどう処理するか」は最重要テーマなので、

ここが改善されるだけで写真のレベルが一段上がります。


ステップ②:画像整理の基本手順

撮影ができたら、次は整理です。

実は、アーカイブで最も差がつくのは “撮影後の管理” です。

どんなに良い写真があっても、

どこに保存されているかわからなければ、

それは「存在しない」のと同じです。

ここでは、作家が一人でも運用できる“最小限で最強の整理方法”を解説します。


■ フォルダ構造 — 最初の設計がすべてを決める

逆に言えば、

アーカイブ運用で最も破綻しやすいのがフォルダ構造です。

最初に正しいフォルダ構造を作れば、半永久的に迷わないアーカイブが完成します。


● 推奨フォルダ階層(スマホ・クラウド共通)

アーカイブ

 └ 作品写真

       ├ 2024

       │     ├ 2024_001_作品名

       │     ├ 2024_002_作品名

       │     └ …

       ├ 2023

       └ …

 └ 情報シート

       ├ 作品リスト(年別)

       ├ プロフィール

       └ 展示記録

● この構造のメリット

  • 年ごとに整理されて迷わない
  • 作品単位のフォルダが“独立した資料”になる
  • 写真と情報が紐づく
  • SNS/取引先/ギャラリーに送る時に探しやすい
  • AtoM/Omeka S 移行時にもスムーズ

● 避けるべきフォルダ構造

  • 「作品」「過去作」「新作」など曖昧な名前
  • 日付ごとのフォルダが乱立(例:2024-03-18撮影)
  • 作品名だけのフォルダ
  • “雑多フォルダ”を作る

アーカイブが破綻する人のフォルダ構造の95%はこれです。

● フォルダ命名規則(推奨)

年_作品番号_作品名

例:2024_003_青い風景

番号があると整理が圧倒的に楽になります。


■ バックアップ — スマホだけに置くのは最悪の選択

スマホは壊れます。

機種変更でデータが消える人もいます。

アーカイブを守るためには

最低二重バックアップ

が絶対に必要です。


● 推奨バックアップ構成

  • Google Drive(必須)
  • 外付けSSDまたはNAS(あるとなお良い)
  • 最低でもクラウド1つ+スマホ本体

クラウドにさえあれば、

「作品が全消失する」リスクはほぼゼロになります。


● アップロードの流れ

  1. 撮影
  2. フォルダに作品ごとに分ける
  3. その日のうちにクラウドへアップ

“その日のうちにクラウドへ”を習慣にすると、

アーカイブが勝手に積み上がる仕組みになります。

ひとりで管理する前提で、アーカイブを考えたい方はこちら
※現状の運用を前提にご相談を承ります

この記事を書いた人
ArtLibの長岡です。 アートイベントの取り仕切りを10年にわたって続けてきました。 現在は百貨店のアートギャラリースペースにて、作家さんの展示会場の運営を行っています。 絵画を年間2000万円の絵画を販売して、学んだことを公開していきます。