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個人作家のための“作品ファイル名ルール”作成術

探せる・迷わない・壊れないアーカイブの第一歩

個人作家がアーカイブづくりで最初につまずきやすいポイントの一つが、「ファイル名」です。

撮影した写真やスキャンデータを、とりあえず保存しているうちは問題になりません。しかし、点数が増え、年数が経つにつれて、「あの作品のデータが見つからない」「同じようなファイルが何個もある」といった事態が必ず起こります。

この問題の多くは、作品数が多いからではありません。

最初にファイル名のルールを決めていなかったことが原因です。

ファイル名は単なる名前ではなく、検索性・整理性・将来の自分への引き継ぎを担う重要な情報です。

この記事では、個人作家が無理なく続けられ、かつ後から破綻しない「作品ファイル名ルール」の作り方を、具体例とともに解説します。


ファイル名ルールが必要な理由(検索効率UP)

「フォルダで分けているから大丈夫」と思っていても、ファイル名が曖昧だと、検索性は著しく下がります。

ファイル名ルールは、アーカイブ全体の土台です。

検索はファイル名が最優先で使われる

OSやクラウドの検索機能は、まずファイル名を参照します。

ファイル名に情報が入っていなければ、どれだけ整理しても検索に引っかかりません。

検索効率を上げるためには、ファイル名自体に意味を持たせる必要があります。

目視でも内容が判断できる

ファイル名を見ただけで、「いつの」「どの作品か」が分かる状態は、作業スピードを大きく上げます。

毎回ファイルを開かなくても判断できることは、長期運用で大きな差になります。

年数が経つほど重要性が増す

制作から5年、10年経った作品は、記憶だけに頼れません。

ファイル名に最低限の情報が入っていれば、過去の自分の判断を補ってくれます。

他人に引き継ぐ可能性も考える

将来、ギャラリーや家族、第三者に情報を渡す場面でも、

ファイル名が整理されていれば、説明の手間を大きく減らせます。


最低限含めるべき情報(4つ)

ファイル名に入れる情報は、多すぎても少なすぎてもいけません。

まずは「これだけは入れる」という最低限を決めることが重要です。

制作年

制作年は、最も重要な軸です。

年表整理や展示履歴との連動がしやすくなり、時系列での把握が容易になります。

西暦4桁で統一するのがおすすめです。

作品名

正式な作品名をそのまま使います。

略称や通称ではなく、アーカイブに登録している正式表記と揃えることで、情報の一貫性が保たれます。

サイズ

サイズは簡略化して入れるのがポイントです。

例として「F10」「30x40cm」など、作品管理ルールと一致させることで、視認性が高まります。

連番

同じ条件の画像が複数ある場合に備え、必ず連番を入れます。

正面・部分・展示風景などを整理する際に役立ちます。


禁止すべきファイル名(例:IMG_1234)

ファイル名ルールを考えるうえで、「やってはいけない例」を知ることは非常に重要です。

自動生成名のまま保存する

IMG_1234 や DSC0001 のまま保存すると、

後から中身を判別することがほぼ不可能になります。

これは最も多く、最も危険な失敗です。

日本語・記号の乱用

日本語や全角記号は、システムによって文字化けや表示崩れの原因になります。

基本は半角英数字とアンダースコアで統一するのが安全です。

意味の分からない略語

自分だけが分かる略語は、数年後には自分でも分からなくなります。

誰が見ても理解できる表記を意識する必要があります。


作品ジャンル別の命名規則例

作品ジャンルによって、命名ルールを微調整すると、さらに管理しやすくなります。

平面作品(絵画・版画)

例:

2023_Title_F10_01.jpg

サイズと正面写真が分かる構成が基本です。

立体作品

例:

2022_Title_Height30cm_front_01.jpg

角度や視点を補足情報として入れると便利です。

写真作品

例:

2021_Title_PrintA3_edition01.jpg

エディション管理を意識した命名が有効です。

インスタレーション

例:

2024_Title_installation_view01.jpg

展示空間との関係が分かる要素を含めます。


フォルダ構造との連動設計

ファイル名とフォルダ構造は、必ずセットで考える必要があります。

フォルダは大枠、ファイル名は詳細

フォルダで作品単位や年単位を管理し、

ファイル名で個別情報を補完するのが基本です。

重複情報を入れすぎない

フォルダとファイル名で同じ情報を繰り返すと、

修正時の手間が増えます。

役割分担を明確にします。

将来の拡張を考慮する

点数が増えても破綻しない構造を意識することで、

後からの整理コストを減らせます。


クラウド管理での注意点(Google/Dropbox)

クラウド管理では、ローカル以上に命名ルールが重要になります。

検索はファイル名が生命線

クラウド検索はファイル名依存度が高いため、

ルールがないと一気に探せなくなります。

共有時の誤解を防ぐ

他人と共有した際、

ファイル名が曖昧だと誤解やミスが起こりやすくなります。

同期トラブルへの備え

同名ファイルがあると、

同期エラーや上書き事故の原因になります。

連番は必須です。


テンプレート例(コピーして使える)

ここでは、すぐに使える基本テンプレートを紹介します。

基本形

YYYY_Title_Size_XX.jpg

立体作品用

YYYY_Title_Dimension_View_XX.jpg

展示写真用

YYYY_Title_Exhibition_Location_XX.jpg

編集用派生画像

YYYY_Title_Size_edit_XX.jpg

元データとの区別が明確になります。


まとめ:命名ルール=未来の自分への“メッセージ”

ファイル名ルールは、今の自分のためだけのものではありません。

迷わない環境を作る

決まったルールは、判断のストレスを減らします。

作品の価値を守る

整理されたデータは、作品の信用にも直結します。

続けられるルールが最善

完璧さより、続けられることを優先することが大切です。

アーカイブは積み重ね

小さなルールが、数年後に大きな差になります。


個人作家として、今の段階で何を整理すべきか相談したい方はこちら
※ 個人作家として、今の段階で何を整理すべきか相談したい方はこちら

この記事を書いた人
ArtLibの長岡です。 アートイベントの取り仕切りを10年にわたって続けてきました。 現在は百貨店のアートギャラリースペースにて、作家さんの展示会場の運営を行っています。 絵画を年間2000万円の絵画を販売して、学んだことを公開していきます。