作品データベース設計の基本|入力項目・必須データ一覧
Dublin Core(ダブリン・コア)を使った“作品情報の標準化”完全ガイド
アートアーカイブを運用していると、
「分類はしているのに、なぜか目的の作品が見つからない」
「検索しても、思ったように絞り込めない」
という悩みに必ずぶつかります。
その原因の多くは、タグ付けの設計が曖昧なまま運用されていることにあります。
タグは分類よりも軽く、自由度が高い反面、
ルールを決めずに使うと一気に混乱を招く要素でもあります。
しかし正しく設計されたタグは、
ジャンルや技法を横断し、アーカイブ全体の検索性を飛躍的に高めてくれます。
この記事では、
作家・ギャラリー・自治体のいずれにも使える形で、
タグ付けの目的、ルール、具体例、運用上の注意点を体系的に解説します。
まず理解しておくべきなのは、
タグは「分類の代わり」ではなく、「分類を補完する仕組み」だという点です。
タグの本質は、横断的に作品や資料をつなぐことにあります。
ジャンルや技法といった分類は、どうしても縦割りになります。
しかし作品には、色、感情、場所、季節、モチーフなど、
分類にしにくい要素が必ず含まれています。
タグは、そうした要素を拾い上げるための仕組みです。
タグがあることで、
「赤い作品」「人物が描かれた作品」「春をテーマにした展示」
といった、利用者の感覚的な検索が可能になります。
これはアーカイブを“使われるもの”に変える重要な要素です。
タグは、後から展示企画や特集を組む際にも力を発揮します。
過去のデータを横断的に分析しやすくなるため、
アーカイブは単なる記録ではなく、企画資源へと変わっていきます。
タグは自由に見えて、実はルールがなければ機能しません。
ここでは、タグ設計で必ず守るべき基本原則を解説します。
タグは必ず名詞で統一します。
「明るい」「感じる」といった形容詞や動詞は解釈がぶれやすく、
検索精度を下げる原因になります。
「明るさ」「感情」「光」といった名詞に置き換えることが重要です。
「人物」と「人物画」、「モノクロ」と「白黒」など、
意味が近いタグが混在すると検索が破綻します。
代表表記を一つ決め、他は使わないという運用ルールが必要です。
アルファベット表記や数字を含むタグは、
大文字・小文字、全角・半角の揺れが起きやすいポイントです。
最初に「英字は半角・小文字」「数字は西暦のみ」など、
明確な基準を設けておくことで、後々の修正作業を防げます。
個人作家のアーカイブでは、
作品世界を多角的に伝えるタグ設計が重要になります。
「赤」「青」「モノクロ」など、
視覚的に分かりやすい色タグは、SNS連携やポートフォリオ作成にも有効です。
ただし色数は増やしすぎず、基本色に絞るのがコツです。
「人物」「風景」「植物」「建築」など、
作品に登場するモチーフをタグ化すると、
シリーズ横断の検索や展示構成がしやすくなります。
分類とは別に、「厚塗り」「ミクストメディア」「ドローイング」など、
制作プロセスに関するタグを付けておくと、
作家性や技術的特徴を伝えやすくなります。
ギャラリーでは、
展示単位で情報を束ねるタグが重要になります。
過去の展示名をタグとして残しておくことで、
「この展示に出た作品一覧」を瞬時に呼び出せます。
これは問い合わせ対応や再展示の際に非常に有効です。
展示ごとに設定したテーマをタグ化することで、
異なる作家・異なる年の展示を横断的に比較できます。
ギャラリーの企画軸が自然と可視化されていきます。
「新作」「委託」「販売済」といった補助的なタグは、
在庫管理や内部確認をスムーズにします。
ただし公開・非公開の扱いは明確に分ける必要があります。
自治体・資料館のアーカイブでは、
利用者視点での検索性を重視したタグ設計が求められます。
市町村名だけでなく、
旧村名や地区名をタグとして付与することで、
地域研究や郷土学習に役立つアーカイブになります。
「昭和初期」「戦後」「平成」など、
大まかな時代区分をタグ化しておくと、
専門知識がない利用者でも検索しやすくなります。
「写真資料」「行政文書」「民俗資料」など、
分類とは別に用途ベースのタグを付けることで、
閲覧目的に応じた導線を作ることができます。
タグ運用で必ず起きるのが、
気づいたらタグが増えすぎている問題です。
誰でも自由にタグを追加できる状態は危険です。
「新しいタグは管理者が承認する」といった運用ルールが必要です。
年に1回程度、
使われていないタグや重複タグを整理する時間を設けます。
これにより、検索性の劣化を防げます。
1作品あたりのタグは、
5〜10個程度に抑えるのが現実的です。
多すぎるタグは、かえって検索のノイズになります。
タグは、アーカイブを「探しやすい倉庫」に変えるための
検索のショートカットです。
分類が作品世界の“骨格”だとすれば、
タグはそれをつなぐ“神経”のような存在です。
ルールを決め、数を抑え、定期的に手入れをする。
それだけで、アーカイブは
記録から活用へと大きく進化します。
タグ設計を軽視せず、
最初から「運用」を前提に考えること。
それが、長く使われるアーカイブを作る最大のポイントです。
▶ デジタルアーカイブ化を「導入すべきかどうか」から検討している方はこちら
※現状の運用を前提にご相談を承ります