複数作家の情報をギャラリーが一元管理する:作品・CV・展示歴のデータ設計
ギャラリーが作家を選ぶ基準:Artlib視点で見た「展示が決まる作家」の特徴
「この作品、まだ在庫ありますか?」
ギャラリーからそう聞かれたとき、すぐに答えられる作家はどれくらいいるでしょうか。複数のギャラリーに委託しながら、個展を開きながら、オンラインでも販売している。そういう状況になると、どの作品がどこにあって、何点残っているのかを把握するだけで一苦労です。
私がこの問題の深刻さを実感したのは、確定申告の季節でした。「今年、いくつ売れたんだろう」と振り返ろうとして、領収書の束と頭の中の記憶だけが頼りという状況に陥ったのです。作品の管理を「なんとなく」でやっていると、必ずどこかで詰まります。今回は、シンプルに始められる作品在庫管理の仕組みについて、実務的な観点からまとめてみます。
作家活動を続けていると、作品の行き先は思った以上に複雑になります。ギャラリーAには3点委託中、ギャラリーBには別の2点、オンラインショップにも掲載中、手元にも未販売が5点……。こういった状況で「管理なし」で進めると、具体的に次のような問題が起きます。
管理の仕組みを作るのは手間に感じますが、一度仕組みさえ作ってしまえば、更新は数分で済みます。始めないほうが、長期的には圧倒的に手間がかかると思っています。
まず、ハードルを下げることが大切です。最初から完璧なシステムを作ろうとすると続きません。Excelで作る在庫管理表の最小構成は、以下の列だけで十分です。
これだけです。シートを一枚作って、新しい作品ができたら行を追加する。場所が変わったら「現在地」欄を更新する。売れたら「状態」を変えて売却情報を入力する。この繰り返しで、常に在庫の全体像が把握できます。
フィルタ機能を使えば「ギャラリーAにある作品だけ」「販売中の作品だけ」も一瞬で絞り込めます。まずはExcelの一覧表から始めることを強くお勧めします。
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Excelで管理に慣れてきたら、Notionへの移行も検討する価値があります。Notionの優れている点は、「ギャラリービュー」で作品を画像付きカードとして一覧表示できることです。スプレッドシートとギャラリー表示を切り替えながら使えるため、視覚的に在庫を把握できます。
Notionで作品データベースを設計する際の基本的なプロパティ構成はExcelとほぼ同じですが、以下の点でメリットがあります。
一方で、Notionは設計に少し時間がかかります。最初はExcelで運用を始めて、「もっと使いやすくしたい」と感じてからNotion移行を検討するのが現実的だと思います。
複数のギャラリーや委託先がある場合、「どこに何がある」を一目で把握できる状態が理想です。Excelなら「委託先」列でフィルタをかけるだけでいいですが、もう少し凝りたい場合は、委託先ごとのシートを作る方法もあります。
私が実際にやっていたのは、委託先ごとの「委託書」を兼ねたシートを作る方法です。委託する作品一覧、委託開始日、委託条件(委託販売率)、返却予定日を記録しておくと、契約上のトラブル防止にもなります。
また、委託先からの「売上報告書」が届いたときに、自分の記録と照合する習慣をつけることが大切です。「この作品は先月売れたはずなのに報告が来ていない」「先月の売上から引かれた手数料の計算が合わない」といった問題は、記録があってこそ気づけます。
在庫管理で最も大切な行為の一つが、「売れた作品の記録」です。ここが曖昧になると、確定申告のときに大変な思いをします。記録しておくべき項目は次の通りです。
確定申告では、この売上金額の合計が「事業所得」の基礎になります。消費税の免税事業者であっても、インボイス制度の動向によっては記録の精度が重要になってきます。「どうせ少額だから」と油断せず、一件一件記録する習慣をつけておくことが、後々の作家活動の基盤になると思っています。
在庫管理と聞くと、制作の邪魔になる事務作業のように感じるかもしれません。しかし私の経験上、管理の仕組みがないと「あの作品どこやったっけ」「あのギャラリーからいつ売上が来るんだっけ」という雑念が頭の片隅に常に居座るようになります。
逆に、管理の仕組みが整っていると「今、どの委託先に何点出していて、手元にはこれだけある」という全体像が一目でわかる。それだけで、次の展示計画や販売戦略を落ち着いて考えられます。
まずはExcelで一枚の表を作ることから始めてみてください。列は8つだけでいい。新作ができたら行を一つ追加するだけでいい。その小さな積み重ねが、1年後・3年後の作家活動の「見える化」につながります。
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あなたはどんな方法で作品を管理していますか?「この方法が使いやすかった」「こんな工夫をしている」という経験があれば、ぜひコメントで教えてください。