アートイベントの企画運営・クリエイターグッズの販売

ポストカードの印刷はどこが安い?アート向け印刷所を品質・価格・納期で比較

展示会の会場設営をしていたとき、出展作家のひとりが印刷所のサイトを開いたまま固まっていました。「グラフィック、プリントパック、ラクスル……どこで刷ったらいいか全然わからなくて」と。値段も違えば、品質も対応スピードも違う。初めて発注する人には、選択肢が多すぎるんです。

私自身、イベントのDMやポスターで何十回と印刷所を使ってきました。作家さんのポストカード発注に同席したことも数えきれないくらいあります。その経験から、アート向けの印刷所選びに絞って整理してみます。

印刷所を選ぶ3つの判断軸

印刷所を選ぶとき、私が必ず確認するのは「コスト」「品質」「納期」の3つです。この3つは基本的にトレードオフの関係にあります。安くて早い印刷所は品質を妥協する場面があり、品質にこだわると価格と納期にしわ寄せがきます。

コスト:100枚あたりの単価を基準に比較します。部数が増えるほど1枚あたりのコストは下がりますが、少部数の場合は固定費(版代・セットアップ料)の影響が大きくなります。

品質:色の再現性・用紙の種類・特殊加工(マット加工・UVニスなど)の対応可否で判断します。特にアートの場合、微妙な色の再現が勝負になります。

納期:展示会やイベントに合わせて逆算が必要です。急ぎの場合は特急対応オプションを確認してください。通常の仕上がりより3〜5日短縮できる印刷所もあります。

この3軸を自分の優先順位で並べてから印刷所を選ぶと、「安いと聞いて頼んだら品質が合わなかった」という失敗を減らせます。

コスト重視の印刷所(プリントパック・グラフィック等)

価格の安さで選ぶなら、ネット印刷の大手が候補になります。

プリントパックは業界最安水準の価格帯が魅力です。100枚のポストカード(はがきサイズ・両面フルカラー)が数百円台から対応できます。ただし、色の再現については標準的な設定が基本で、微妙な色調整には対応していないことが多いです。大量部数でコストを下げたいときに向いています。

グラフィックはコストと品質のバランスが取れた印刷所です。用紙の種類が豊富で、マット紙・コート紙・クラフト紙など作品に合わせた選択ができます。会員登録後の割引制度もあり、継続利用でコストを下げられます。

ラクスルはスマートフォンからの発注が簡単で、UIのわかりやすさが強みです。価格は中程度ですが、配送日を遅らせることで価格が下がる仕組みがあります。急がない場合はコストを抑えやすいです。

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品質重視の印刷所(特殊用紙・色再現にこだわりたい場合)

アートポストカードの場合、「この色で刷ってほしい」というこだわりが出てくるのは自然なことです。そのときに選択肢となる印刷所を紹介します。

しまうまプリントは写真印刷に特化しており、写真的な作品の発色に強みがあります。L判・はがきサイズの写真印刷は精細で、写真ベースのポストカードに向いています。

WAVE(ウェーブ)は同人誌印刷でも知られる印刷所で、アートや手描きイラストの色再現に定評があります。用紙の種類も豊富で、特殊加工にも対応しています。少し割高ですが、「仕上がりのクオリティで作品の価値を伝えたい」と考えるなら投資する価値があります。

栄光は同人誌・グッズ印刷の老舗で、ポストカードでも発色の安定感があります。初回発注時のサンプルセットを取り寄せると用紙の質感や発色を事前に確認できるので、試してみることをおすすめします。

入稿データの作り方(初心者向け)

印刷所を選んだら、次はデータ作成です。ここで失敗する方が多いので、基本的なポイントをまとめます。

解像度:印刷用データは最低でも350dpi(推奨は350〜400dpi)で作成します。Webで使う72dpiのデータをそのまま入稿すると、印刷物がぼやけて仕上がります。

カラーモード:印刷はCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)を使います。RGBで制作したデータはCMYKに変換すると色が変わることがあります。特に鮮やかな青や緑は印刷時にくすむことがあるため、事前にCMYKでの見え方を確認しておきましょう。

塗り足し:断裁時のズレを考慮して、データの端から3mmほど「塗り足し」エリアを設けます。この部分まで背景色や画像を伸ばしておかないと、仕上がりに白フチが出ることがあります。

IllustratorやPhotoshopで入稿データを作る場合、印刷所ごとのテンプレートファイルを用意しているところが多いので、まずそのテンプレートを使うと設定ミスを防げます。

少部数vs大部数で変わる最適な選び方

発注部数によって、最適な印刷所は変わります。

少部数(10〜50枚):大手ネット印刷は少部数に対応していないか、割高になる場合があります。この場合は「オンデマンド印刷」に対応した印刷所が向いています。印刷品質はオフセット印刷より若干落ちますが、少数から注文でき、在庫リスクを抑えられます。

中部数(100〜300枚):ネット印刷大手のコストパフォーマンスが最も発揮される帯域です。プリントパックやグラフィックで複数種類を少量ずつ刷るより、デザインを絞って1種類を多めに刷るほうがコスト効率は上がります。

大部数(500枚以上):オフセット印刷の単価が一気に下がります。この規模になると地元の印刷会社に直接相談するのもありです。枚数が大きいほど交渉の余地が生まれます。

私がイベントで作家さんに必ずアドバイスするのは、「最初は少なく刷って、売れたら追加する」という考え方です。売れ残った在庫は収益を圧迫します。ポストカードは気軽に買ってもらえる商品ですが、だからこそ最初は手堅く始めることをおすすめします。

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この記事を書いた人
ArtLibの長岡です。 アートイベントの取り仕切りを10年にわたって続けてきました。 現在は百貨店のアートギャラリースペースにて、作家さんの展示会場の運営を行っています。 絵画を年間2000万円の絵画を販売して、学んだことを公開していきます。