アートアーカイブや作品管理を進める中で、必ず直面するのが「撮影やスキャンを外注すると、いくらかかるのか?」という問題です。
作品撮影や資料スキャンは、アーカイブの“品質”を左右する重要な工程でありながら、見積もりの基準が分かりにくく、不安を感じる方も多い分野です。
結論から言えば、撮影・スキャンの外注費用は「点数」「作品の種類」「求める品質」によって大きく変動します。
そして、安さだけで選ぶと、後から撮り直しや使いづらさに悩まされるケースが非常に多いのも事実です。
本記事では、絵画・立体作品・資料スキャンそれぞれの相場感を整理しながら、
「なぜその価格になるのか」「どこで差がつくのか」を丁寧に解説します。
作品撮影やスキャンの外注費用は、基本的に「1点いくら」という単価設定が主流です。
そのため、点数が増えるほど総額は上がりますが、同時に“まとめて依頼することで単価が下がる”ケースも少なくありません。
作品撮影は、1点ごとにセッティング・光調整・撮影・データ確認という工程が発生します。
サイズや内容が異なる作品は、たとえ似た形式でも同じ手間がかかるため、点数単価が基本となります。
同じ「1点撮影」でも、価格に差が出る理由は明確です。
撮影環境、照明機材、撮影後の色補正、納品データの品質など、目に見えない工程の差がそのまま価格に反映されます。
極端に安い場合、色味の再現性が低かったり、アーカイブ用途に耐えない解像度だったりすることがあります。
「とりあえず記録」なのか、「将来も使うアーカイブ」なのかで、求める水準を見極める必要があります。
平面作品(絵画・版画・ドローイングなど)は、撮影の基本形ですが、
サイズ・額装の有無・反射の有無によって難易度が変わります。
F0〜F20程度の作品であれば、1点あたり3,000円〜8,000円が一般的な目安です。
自然光ではなく、スタジオ照明を使い、色補正まで含む場合はやや高くなります。
F50以上の大型作品や、油彩・箔・ガラス額装がある場合、
反射処理や照明調整が必要になり、10,000円〜15,000円程度になることがあります。
アーカイブ用では、単に「写っている」だけでなく、
色味・コントラスト・歪みの少なさが重要になります。
展示図録やWEB再利用を想定する場合、このレベルは妥協しない方が結果的に安くつきます。
立体作品は、平面作品に比べて撮影工程が増えるため、単価は高めになります。
複数カットが前提になることが多い点も特徴です。
立体作品では、正面・側面・斜めなど複数カットを撮影します。
最低3カットで5,000円〜10,000円程度が一般的です。
インスタレーションや大型彫刻の場合、
背景処理・設置作業・光調整に時間がかかり、15,000円〜20,000円以上になることもあります。
「形状確認用の記録」と「広報・販売用の写真」は目的が異なります。
後者を求める場合、演出やカメラワークが加わり、価格も上がる傾向にあります。
資料や写真のスキャンは、自治体・資料館・作家アーカイブで非常に重要な工程です。
しかし、原本の状態やサイズによって価格は大きく変わります。
一般的な書類スキャンは、1枚50円〜300円程度が目安です。
解像度300dpiか600dpiかによっても価格は変動します。
古い写真やアルバム、劣化資料は、
取り扱いに注意が必要なため、1点500円〜2,000円程度になることがあります。
アーカイブ用途では、将来の再利用を考え、
最初から高解像度でスキャンしておく方が、長期的にはコスト削減につながります。
見積書を見て驚かれることが多いのが、撮影単価以外の追加費用です。
作品を動かせない場合、出張撮影となり、
交通費+出張費(5,000円〜30,000円程度)が加算されることがあります。
色合わせや細かな補正が必要な場合、
1点あたり数百円〜数千円の追加費用が発生することがあります。
RAWデータ、TIFF、JPEGなど、
納品形式の指定によって作業量が変わり、価格に影響する場合があります。
品質を落とさずに費用を抑えるには、準備段階が非常に重要です。
1点ずつ依頼するより、
まとめて撮影することで単価が下がるケースが多くあります。
サイズ・タイトル・点数を事前に整理しておくことで、
撮影当日の作業時間が短縮され、結果的にコスト削減につながります。
「アーカイブ用」「SNS用」「販売用」など、
用途を明確に伝えることで、過剰な撮影や補正を避けられます。
作品撮影・スキャンは、単なる作業ではなく、
アーカイブ全体の価値を決定づける基盤です。
安さだけを優先すると、後から撮り直しが必要になり、
結果的に高くつくケースが少なくありません。
アーカイブは「今」だけでなく「未来」に使われるものです。
その前提で品質を考えることが重要です。
実績・サンプル・説明の丁寧さを確認し、
“アーカイブ用途を理解しているか”を基準に選ぶと失敗が減ります。
もし次に進むなら、
も作れます。
次はどれを作りましょうか?
▶ デジタルアーカイブ化を「導入すべきかどうか」から検討されたい方はこちら
※現状の運用を前提にご相談を承ります